ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は歯列矯正治療の中で最も古くから行われている歯列矯正法です。現在でも国内外の多くの歯科医院で行われています。
ブラケットと呼ばれる装置を歯に接着し、ブラケットにワイヤーを装着することでワイヤーの力を歯に加えます。
ワイヤー矯正は、市中の開業医から大学病院などの公的医療機関にいたるまで広く行われており、豊富な治療実績があります。歯と歯の重なりや隙間、また傾きが大きい症例にも使えます。また、抜歯が必要な症例だけでなく、あごの手術をともなうような症例まで、広く対応しています。
アメリカの矯正歯科医が開発した「セルフ ライゲーション ブラケット」と呼ばれる装置が最近開発されました。これは弱い力でも無理なく、かつ早くスムーズに歯を動かせる装置です。ブラケットとワイヤーをしっかりと結びつける従来法に比べて治療期間の短縮が可能です。
マウスピース矯正が最近は増えていますが、まだまだ高価な治療法です。ワイヤー矯正は古くから、かつ広く行われているため、費用を安くできます。
ワイヤー矯正と言えば、歯の表側にブラケットを接着するイメージをお持ちかと思います。
どうしても、見栄えの問題があります。最近では、見栄えを少しでも良くする方法があります。
(1) メタルワイヤーと白いブラケット
歯の表側に装置をつけますが、ブラケットはセラミックなどを用いて白色にし、ワイヤーはメタルという組みわせです。これだけでもかなり見た目が違います。
(2) ホワイトワイヤー矯正
ワイヤーとブラケットの両方を白くする方法です。メタル感が消せるので目立ちにくく上品な感じになります。表側に装置をつける歯列矯正で、人からぱっと気付かれにくく、目立たないのがホワイトワイヤー矯正です。
(3) 舌側矯正
最近では、歯の裏側に装置をつけ、表側と同じように治療することができます。ただし、裏側矯正は同じワイヤー矯正でありながら、表側からの歯列矯正に比べて難易度が高いため、豊富な経験と技術が必要です。
(1) 歯の表面に装置を付ける場合は、どうしても見える部分に装置がきてしまいます。下側矯正、マウスピース矯正、色々な歯列矯正を組みあわせたハイブリッド矯正と比較検討をおすすめします。
(2) 装置の取り外しができないため、虫歯にならないよう今まで以上に歯磨きが難しくなります。そしてこまめなメンテナンスが必要になります。
(3) 口内炎ができやすくなります。
治療開始直後は矯正装置が唇や舌が当たり、口内炎ができやすすくなります。ただし口内炎が特にできやすいのは最初の数週間で、多くの場合唇や舌が適応し、次第にできにくくなってきます。
(4) 装置がつけられない場合もあります。
金属やセラミックのかぶせ物にはブラケットを接着しても外れやすいです。そのため、かぶせ物の交換が必要なことがあります。
(5) ホワイトニングは難しい場合があります。
ワイヤー矯正ではホームホワイトニング用のマウスピースが装着できません。矯正治療後にホワイトニングをすることをお勧めします。なお、舌側矯正の場合において、歯科医院で行うホワイトニング（オフィスホワイトニング）は可能です。