虫歯の治療風景
こんにちは。熊谷市の歯医者 ヒデ歯科クリニックです。
みなさんは、歯医者へ通院するときに治療が1度で終わった経験と複数回に及んだ経験、どちらが多いでしょうか。
この質問をすると、大多数の方が「複数回」とお答えになります。
通院が面倒だと思いつつも、治療が終わるまでは仕方がないと諦めて次の予約をして帰るケースも多いでしょう。
しかし、患者さんの精神的・肉体的・経済的な負担を考えると、治療回数は少ないに越したことはありません。
そこで、歯科医師の目線から、上手な歯科医院との関わり方をご紹介します。
「なぜ、歯医治療は１度で終わらないの？」
「何度も通院しているのに、なかなか治療が終わらずに困っている」
「通院が長引いて、治療費を負担に感じる」
このような不満を抱えつつも、次回の予約を断ることもできず我慢されている患者さんのお声をよく聞きます。
確かに、通院するたびに窓口で治療費を支払わなくてはならず、経済的に負担を感じる場合もあるでしょう。しかし、実は日本の医療保険制度はかなり優秀で、治療のコストパフォーマンスは世界トップクラスの水準です。
治療が長引き通院回数が多くなる代表的な治療例は、「根管治療」です。
根管治療とは、ダメージを受けた歯髄を取り除き、根管部分をきれいにし、完全に殺菌してから詰め物をする治療のことです。
根管が完全にクリーンな状態になるまで、数日に1度の頻度で薬を交換する処置を行わなければなりません。
さらに、症状がなくなるまで消毒を続ける必要があり、1年という長い期間を要するケースもあります。
処置にかかる時間はおよそ5分程度ですが、数日に1度の割合で通院することに疲れてしまい、治療をやめてしまう患者さんは少なくありません。
しかし、根管部分の消毒が中途半端なまま放置してしまうと、細菌によって炎症が起こり、痛みや腫れなどの症状を引き起こしかねません。独断で通院をやめず、粘り強く治療を続けていただきたいと思います。
歯周病の治療は、現在のお口の状態を正確に把握するための検査や、歯石除去などの様々な処置を行います。また病気の性質上すぐに完治というわけにはいかず、７～8回の通院が必要です。
初期の虫歯であれば歯を削る量が少なくて済みますので、2～3回程度の通院で完治するでしょう。
保険診療を行う場合は、保険診療制度に定められた様々なルールに則った治療を行います。
「歯医者が儲け主義だから、何度も通院させるのではないか？」と疑う患者さんもいますが、決してそうではありません。保険診療制度上の規定によって、1回に行える治療の制限があるために、通院回数が増えてしまうという側面があります。
保険診療では、口の中を＜右上・上前歯・左上・左下・下前歯・右下＞の6つのブロックに分けています。例えば歯石を除去する処置を行う場合、1回に算定できる上限は3ブロックまでです。お口全体の歯石除去を行うためには、少なくとも2回は通院していただかなくてはなりません。
また、保険診療の大前提として、病名が付いている治療にしか保険は適用されません。審美目的の矯正治療（歯並びを整えるなど）は、保険適用外になります。
「長時間の治療になっても構わないから、1日で治療を終わらせたい」
このようなご要望をお持ちの患者さんもいらっしゃいます。では、実際に治療を1回で
終わらせることは可能なのでしょうか。
結論から言えば、治療によっては可能です。ただし、この場合保険診療は使えませんので、自費による診療となり治療費は割高になります。
「何度も治療に通う時間が取れないため、治療費が高くなっても良いから、1度の通院で治してほしい」と希望される患者さんはいますし、その希望に対応可能な歯科医院も多くあります。
ただ、通院を面倒だと感じる患者さんのなかには、毎日のセルフケアをおろそかにしていたり、歯科医院での定期健診をまったく受けていなかったりして、虫歯や歯周病が進行している状態で来院されるケースが少なくありません。
通院回数を減らすための1番有効な方法は、毎日の正しいブラッシングと1年に数回かかりつけの歯科医院で定期健診を受けることではないでしょうか。
歯科医師の目線から「何度も通院しなければいけないのはなぜなのか？」という問題を見てきました。
病気は早期発見・早期治療が大切だということは、今では誰もが知っていることです。歯科でもそれは変わりません。「おかしいな？」と感じたときや痛みを覚えたときは、早めの受診をお勧めします。